2015年11月9日、AMDAは連携協定を結んでいる2県(徳島県、高知県)と8市町(岡山県総社市、香川県丸亀市、徳島県美馬市、阿波市、美波町、高知県高知市、須崎市、黒潮町)27名(輸送20名、通信7名)とともに「AMDA南海トラフ地震対応プラットフォーム 輸送と通信のシミュレーション」を実施した。これは近い将来その発災が予想されている「南海トラフ地震」について、AMDAが被災自治体と連携して円滑な医療救援活動を行うことを目的に、輸送と通信網の確認を行ったもの。
今回のシミュレーションは2016年1月11日午前7時に、四国沖の南海トラフを震源とするマグニチュード8.6の大地震が発生。その後、徳島県、高知県などに「大津波警報」が発令されたこと、本四3架橋が通行不能になったことを想定している。
まずは地震発生を受けて、8時にAMDAは総社市危機管理室のスタッフとともに総社市消防本部に災害対策本部を設置。被災各地に設置した災害対策本部や、高知県と徳島県との連絡では衛星携帯電話を使用し、電波状況や受信時刻などの確認を行った。
続いて8時20分に総社市役所で出発式が行われ、岡山県西部の笠岡市から海路と空路で四国に入る両派遣チームが式に臨んだ。田中副市長のあいさつに続き、菅波代表があいさつ。「これまで阪神淡路大震災や東日本大震災で救援に行ったが、それと南海トラフが違う点は、シミュレーションをすることで事前の準備ができる」と今回の意義について言及した。
式終了後の8時30分、両チームは笠岡市に向けて出発した。
海路で四国に入るチームは、9時半に笠岡港を出港。海上タクシーを利用し,1時間後の10時半に丸亀港に到着した。ここで別ルートで丸亀市入りしていた陸路チームと合流。11時20分に丸亀市役所を表敬訪問し、被害状況の把握と今後の活動を想定した協議を行った。
空路で四国に入るヘリコプターは、濃霧により、出発時刻が当初より20分遅れ、11時20分に笠岡ふれあい空港を離陸。瀬戸大橋上空を飛行し、11時37分に丸亀市陸上競技場に着陸した。当初はここから高知県黒潮町と徳島県美波町にあるAMDAの活動拠点の医療施設にそれぞれ立ち寄る予定であったが、天候不良のため丸亀市陸上競技場止まりとなり、その先に予定されていた飛行は中止となった。
これとは別に丸亀市から出発した陸路の4チームは、レンタカーを借りる手続きや、通行許可書を発行してもらうことを想定して、各地の警察署に立ち寄るなど、ルートと通信状況確認を行った。高知県黒潮町に入ったチームは、午後3時31分に同町の拳の川診療所に到着した。また徳島県阿波市から同県美波町に入ったチームは、午後3時38分に同町の由岐病院に到着し、すべてのシミュレーションを終了した。
今回のシミュレーションでの準備や実施を通じて、浮かび上がった課題については改善として協議を進めていく。また2016年2月に開催を予定している「南海トラフ対応プラットフォーム調整会議」で提示し、協定を結んでいる各自治体などと情報を共有し、緊急支援活動にいかしていくことにしている。